技能実習生は結婚できない?
技能実習ビザは、そもそも「母国に帰って技術を活かすこと」を前提に作られている制度です。だから原則として、入管は技能実習ビザから他のビザに変わること自体を想定していません。
この前提があるので、技能実習中に日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザに変更しようとすると、現場では少し特殊な扱いになります。実務上は、監理団体や勤務先の会社から「同意書」や「承諾書」を求められることが多くなります。
理由はシンプルで、「帰国前提の制度なのに、途中で配偶者ビザに変わるのは制度の趣旨と合わない」という考え方があるからです。母国への技術移転ができなくなる、という理屈ですね。
ただ、ここで疑問が出てきます。
結婚は個人の自由ですし、在留資格の変更は本人が申請する権利です。制度の考え方と、個人の人生は本来、別の話のはずです。
それなのに現場では、「失踪じゃないことの確認」「制度悪用じゃないことの確認」という理由で、会社や管理団体の同意が事実上必要になります。そして、それが出なければ申請が止まります。
これは法律で決まっているルールではなく、あくまで現場運用です。
管理団体側の気持ちも分からなくはありません。入管に目をつけられたくない、監査を受けたくない、トラブル案件を抱えたくない、そういうリスク回避の判断です。
でも、その結果として一番困るのは当事者です。結婚して一緒に暮らそうとしている人たちが、制度の前提と運用のはざまで止められてしまいます。
本来、在留資格を出すかどうかを決めるのは入管です。結婚の実態を確認するのも行政の仕事です。それが現場では、いつの間にか民間団体が“関所”みたいな役割になっています。
技能実習制度が「帰国前提」であること自体は事実です。でも、それと結婚や人生設計までを同じ線で縛ってしまうのは、やっぱり無理があると思います。
制度は人の人生を支えるためにあるはずです。制度の前提が、人の人生を止める理由になってしまっているなら、そこには見直すべき問題があると思います。

