特定技能でタクシー運転手になるための本当の条件
特定技能は「技能試験」と「日本語試験」に合格することが基本ですが、実際に現場で働くためにはそれだけでは足りない業種があります。運送業の中でもタクシーで働く場合が典型例です。タクシー乗務員になるには、まず法律上 第二種普通自動車免許 が必須であり、さらに事業者は新しく雇った乗務員に対して 新任運転者研修(主任運転者研修) を必ず行わなければならないと定められています。これは日本人でも外国人でも同じ条件です。問題は在留資格との関係で、たとえば「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を持つ外国人が免許取得や研修を受けようとすると資格外活動にあたり、そのままでは認められません。そのため法務省は「自動車運送業で必要な免許取得や新任研修を行う場合は特定活動55号を付与する」と示しており、事実上、在留資格の切替えが前提になります。つまり「技能試験と日本語試験に合格すればすぐタクシー運転ができる」のではなく、免許・研修・在留資格の整理をすべて満たす必要があるのです。
同じように介護分野でも追加条件があります。技能試験と日本語試験に合格して在留資格(特定技能1号)が許可された後、必ず 介護導入研修 を受ける義務が課されています。これは新規に入国する人も、日本で在留資格を変更する人も同じで、あくまで「許可後に速やかに受ける」ことが求められます。
外食業の場合は少し性格が違い、法律で外国人に直接課されている要件ではありませんが、厚生労働省が示す「食品衛生責任者の配置」や「HACCPに沿った衛生管理」の体制を整える必要があるため、実務上は外国人従業員に自治体や業界団体の 衛生管理講習 を受けさせるケースがあります。これは在留資格の必須条件ではなく、受入企業側が衛生管理体制を守るために追加で求めるものです。
このように特定技能は業種ごとに「試験と日本語力」だけでは足りず、免許・研修・講習などの追加条件が存在します。制度上明文で義務とされているものもあれば、受入現場で運用上求められるものもあり、その違いを正しく理解して準備することが大切です。

